検査の知識|溶接品質の測定・検査

2020年06月28日 13:52

溶接品質の測定・検査


溶接後の測定・検査には、溶接部表面の検査と溶接部内部の検査があります。

溶接内部の検査では超音波や放射線による検査が一般的です。溶接表面の検査には、磁粉を使う「磁粉探傷試験(MT)」や、特殊な液体を使う「浸透探傷試験(PT)」があります。

近年では、技術革新により、量産スピードと品質の双方が問われるFAの世界において、インラインでも高速かつ高精度な自動検査が実現する「レーザー変位計」を使った非接触検査が増加傾向にあります。

溶接の表面測定・検査


ビードの表面欠陥に関する詳細な管理許容差や限界許容差は、「溶接部外観検査基準(JASS 6-20011)」で定義されており、量産品の外観検査には、この基準に適合した検査を高速かつ高精度に実施する必要があります。

ここでは、溶接の表面測定・検査について解説します。

溶接表面の検査には、目視によるもの以外に「磁粉探傷試験(MT)」や「浸透探傷試験(PT)」、画像センサやレーザー変位計による検査といった方法があります。

接触式表面検査

磁粉探傷試験(MT)

鉄鋼など強磁性材料の表面近くのきずの検出に適した検査方法です。

溶接部を磁化した場合、表面および表面直下の浅い部分(表面から約2~3mm程度)にきずがあると、磁気に不連続部分が生じます。

磁束はその部分から漏洩し、不連続部との境界に磁極が発生します。

この状態で溶接部の表面に磁粉を散布すると、磁粉は微小磁石となり、きず部分の磁極に付着します。付着した磁粉によって実際のきずの幅の数倍から数十倍の幅の磁粉模様ができ、きずの目視観察が可能になります。

浸透探傷試験(PT)

ほとんどすべての材料の表面検査に使用できる検査方法です。

溶接部の表面のきずに、見えやすい色や輝きを持たせた浸透性の良い液体を浸み込ませ、表面に吸い出すことできずを拡大して目視観察を可能にします。

従来の非接触式表面検査


熟練した溶接作業者による目視検査は、従来から行われてきました。

しかし、多くの工数を要すること、十分なスキルと経験を持った人材の確保が困難であること、欠陥の見逃しなど人的ミスが発生する可能性があるなど、さまざまな問題が指摘されています。

画像センサによる検査は、インラインで行えるため、効率よく検査することができます。

しかし、センサ周辺の光や溶接部の色ムラなどに影響され、誤検知が発生することが問題とされています。

レーザー変位計による非接触式表面検査


溶接表面にレーザーを照射し、反射によるフィードバックからビード形状を検出します。

一般的にレーザー変位計は、安定した形状検出のために最適な反射光量を必要とします。

しかし、従来の一般的なレーザー変位計は、ワークに合わせて光を調整する際、ワーク全面から得られる受光量に対して光を調整するため、曲面や色の異なる面を測定すると反射光量差が発生し、誤検知の原因になるといった課題がありました。

超高精細インラインプロファイル測定器「LJ-X8000シリーズ」は、センサヘッドからラインレーザーを照射し、その反射光によって断面形状を測定する「光切断法」で、ビードの形状を検出します。

従来比2400倍のダイナミックレンジをもつ受光素子により、検査対象となる溶接部に曲面や光沢面、色ムラがあっても正確な形状を取得することができます。

また、センサヘッドは小型かつ高速サンプリングが可能であるため、インラインでの測定に適しています。

溶接の内部測定・検査


溶接ビードや母材の内部検査には、超音波または放射線を用います。

ここでは、溶接の内部測定・検査について解説します。

超音波探傷試験(UT)


溶け込み不足や融合不良、内部の割れなどの欠陥の検出には、超音波を用います。

超音波による検査(「超音波探傷試験:UT」)では、探触子といわれる物体を使用します。

この探触子の内部には超音波の発生、受信を行う振動子が組み込まれています。

探触子を溶接部に当て超音波を発生すると、超音波は溶接部の内部を伝搬します。

空洞や異物などがない場合、超音波は底面で反射し(エコー)探触子に戻ってきます。

途中に空洞や異物などがあると、底面より先に空洞や異物などからのエコーが探触子に戻ってきます。

このエコーを探傷器に表示される図形で捉え、欠陥の有無や位置を測定します。

放射線透過試験(RT)


放射線による内部検査は、ブローホールやスラグ巻き込みなどの欠陥の検出に有効です。

放射線による検査では、人間の健康診断で行うレントゲンと同じ手法である放射線による「放射線透過試験(RT)」が有効です。

レントゲン同様、溶接部に放射線を照射します。

欠陥部は他の部分より放射線を通しやすいため、フィルムに感光させると欠陥部分は黒く映し出され、欠陥として検出することができます。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)